この話は私がひどい腰痛で悩んでいた頃に通っていたとある整体院のお話です。
今から10年ほど前、私はホームページ制作を朝から晩までやっていた時期があって、一日中座りっぱなしの生活を送っていたため、ひどい腰痛になってしまい立ちあがろうとしても腰に力が入らず、力を入れようとすると激痛が走るという状態になりました。
私は、治療院のホームページを検索して、その中からよさそうな整体院に行ってみることにしました。
初めて行った整体院でのカウンセリング
一人で歩くこともままならない状態だったので、妻に車を運転してもらって、その整体院へ行ったところ、施術の前にカウンセリングをするので、30分ほど時間を取らせていただきますということで、椅子に座らされ、パソコンの画面を見ながら説明を受けました。
説明の内容は体が元のような状態に戻るまでには、波があって3歩進んだら2歩下がることを繰り返して改善するから、完全に良くなるまで、しっかりと通ってくださいといったことを30分かけて説明されました。

私の方も、それはそうだろうなと、納得はできたので、このひどい状態から抜け出すためにちゃんと通わなければならないという心境になっていました。
ということで、私はそれから数ヶ月に渡り、この整体院に通い続けることになりました。
3歩進んで、3歩下がる
と、ここまでは良かったのですが、いくら施術を受けても改善していく気配を感じないのです。
いや、確かに施術をしてもらうとそれまでのひどい痛みが軽くなって、だいぶ楽にはなるんです。
でも、すぐにもとに戻ってしまうといった感じなのです。
私は、これで本当に良くなるのかなとは思いましたが、最初のカウンセリングで施術後はよくなっても、時間の経過とともにだんだんと戻ってしまうから、間を空けずに施術を受けることで少しずつ良くなりますという言葉を信じて通っていました。
結論を言ってしまうと、この整体院では私の腰痛は、ほとんど改善はしませんでした。
私は、整体については全くの素人ですが、私なりにいろんな書籍を取り寄せて調べてみたところ、どうもこの整体は体の緊張を緩めるという手法をとっているようで、痛みによって緊張してしまった筋肉を緩めることで痛みを緩和するといったもののようでした。
こういうことは、今この記事を読んでらっしゃる治療家の先生の方が詳しいと思うので、あまり深掘りはしませんが、私の腰痛を根本から改善することにはあまり役立たなかったようです。
さらに、この整体の先生はあちこちの治療法のセミナーに通うのが好きらしく、そこで習ってきたことをそのまんま私に施術するということが何度かありました。
突然、これまでとは違った技を使いだしたので、確認したところ「きもちいいでしょ。先週習ってきたんだ。」と言われときには、「他を探そう」と決心しました。

整体師のマーケティングの勝利
何年も勉強して、国家資格を取得して真面目に治療院を営んでいる先生の中には、この話を読んで憤慨される方もいるかもしれません。
しかし、いい悪いは別として、この整体院のマーケティングは成功していると言えるでしょう。実際にここは、ひとりでやっている小さな治療院でしたが、そこそこ流行っていました。(壁一面に患者さんからのお礼のお手紙などが貼られていました。)
この記事で私は、この整体院のことを酷いとか、詐欺だとかいうつもりはまったくありません。むしろ、いい勉強になったと思っています。
ただ、本当に腕がいい(少なくとも、身体を緩めるしかできない整体師よりは技術も知識も豊富な)先生が、正しいマーケティングを行なって、本当に困っている患者さんに正しい情報がもっと届く世界になったら、幸せな人がもっと増えるんじゃないだろうか、と思います。
不思議なもので、良いものを売っている人ほど品質に自信があるためか、あまり宣伝に身が入らず、質的にちょっとどうなのみたいなものを扱っている人の方が宣伝やマーケティングに長けているという傾向がある気がします。
リピート率を高くするためには布石を打つ
この例からもお分かりのように、患者さんに何にも情報を与えなければ、なかなか繰り返し通ってはくれないものです。
人によってはたった1回の施術で、たちどころに良くなるのが普通と思っているかもしれません。そんな人に何を言わずにただ施術だけして帰してしまったら、あそこは腕が悪いなどと悪評を立てられる可能性だってあります。
やはりリピートしてもらうためには、患者さんを教育(といったら言葉が悪いかもしれませんが)するための仕組みを治療院の運営の中に取り入れていくことが大事なことだと理解していただけたら幸いです。
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